No.409-2(2006/12/21)
Route selection by a jumping spider (Portia labiata) during the locomotory phase of a detour.
(迂回路の移動フェーズ中のハエトリグモ (Portia labiata) におけるルート選択)
Tarsitano M.(2006)
Animal Behavior 72,1437-1442.ハエトリグモ(Portia labiata)は、接近する前に、目標(獲物)から遠ざからなければならない迂回行動を達成することができる。この迂回行動は、2つのフェーズに分けられる。探査フェーズ:このフェーズの間、ハエトリグモはだいたい1ヶ所にとどまり、その主眼を使って周囲の環境を調べる。移動フェーズ:このフェーズの間、ハエトリグモは迂回行動を行う。過去の研究において、ハエトリグモが目標までの視界がさえぎられていない小さくて高いプラットフォームに最初に閉じ込められた時、ハエトリグモは選択可能なルートを探査することによってその迂回行動の最初の段階を計画し、スタートからゴールまでの間断のない道を選び出し、そして迂回路に沿って最初の目標をめざすことが示された。本研究において、私は、ゴールへ間接的にアクセスする障害物とアクセスしない障害物がある、開けたアリーナにおけるハエトリグモの迂回行動を調べた。クモの探査行動と迂回路の決定は、最初に高いプラットフォームに閉じ込められたクモのものとよく似ていたが、開けたアリーナのクモはスタート地点だけでなく、迂回ルートに沿った地点においても探査を行った。このように、意思決定は探査フェーズと移動フェーズの両方において徐々に行われた。まとめると、これらの結果と過去の研究は、クモが選択可能なルートを調べて、迂回路の探査・移動フェーズの両方の間に、連続した中間のゴールを選択する、代償的な試行錯誤の一種をハエトリグモにおける迂回行動が含んでいることを示している。
発表者:上垣