No.411-1(2007/1/18)
Audience effects on food caching in grey squirrels (Sciurus carolinensis): evidence for pilferage avoidance strategies.
(ハイイロリスの貯食行動における聴衆効果:荷抜き回避方略の証拠)
Leaver LA, Hopewell L, Caldwell C & Mallarky L.(2007)
Animal Cognition ,10, 23-27.貯食をする種にとって貯食しておいた食物の荷抜き(pilferage)が選択圧として確実に生じてきたならば、こうした種は泥棒から貯蔵している食物を守る能力を進化させてきたはずである。動物が貯蔵している食物を守るという証拠は、荷抜きが重要な適応的課題であるとの主張を支持するであろう。ヒガシハイイロリスが同種と他種の荷抜き対する回避策を行うかどうかを調べるため、この種の自然場面での貯食行動を観察した。ハイイロリスは同種の聴衆がいる場合には回避策をとっていたが、他種の鳥(カケス類)に対しては行わなかった。同種のリスがいる場合に、ハイイロリスは貯食場所の間隔を広げたり、他個体が後ろを向いているときに貯食行動を好んで行ったりしたが、鳥がいる場合にはそうした効果を示さなかった。貯食をする哺乳類が同種の存在による荷抜きの危険に敏感であることと、貯食物の損失を最小にするような回避策を用いることができることを、我々のデータは初めて示した。近年提唱されている相互的荷抜き理論(theory of reciprocal pilferage)から我々のデータを考察し、貯食をする鳥類の行動と比較する。
発表者:高橋