No.412-1(2007/1/25)

Bodies capture attention when nothing is expected.

(身体は、不意に現れても、注意をとらえる)

Downing, PE, Bray D, Rogers J & Childs C.(2004)
Cognition ,93:B27-38.

機能イメージング研究によって、ある種類の視覚刺激は、選択的に視覚皮質(visual cortex)の焦点部分を賦活することが示され、特に、皮質(cortical areas)が顔に対して概して選択的に賦活されることを示してきた(Kanwisher, N., McDermott, J., & Chun, M.M.(1997). 外側後頭複合体(fusiform face area):ヒトのV1より高次の視覚野(extrastriate cortex)にある顔知覚に特定化した部位。Journal of Neuroscience, 17(11), 4302-4311; Puce ,A., Allison, T., Asgari, M., Gore, J.C., & McCarthy, G.(1996). 顔や線字、きめに対するヒト視覚野のそれぞれの異なる反応性: fMRI研究。Journal of Neuroscience, 16(16), 5205-5215.)そして、ヒトの身体への異なる反応(Downing, P.E., Jiand, Y., Shuman, M., & Kanwisher, N.(2001).身体刺激に対して選択的に反応する皮質野。Science, 293(5539), 2470-2473.)などは、近年fMRIを用いて明らかにされてきている。身体研究と平行して、他の刺激と比べた注意の焦点を捕らえる顔の特性が焦注目されている。(Lavie, N., Ro, T., & Russell, C.(2003). 妨害刺激としての顔刺激を処理する際の知覚負荷の役割。Psychological Science, 14(5), 510-515; Ro, T., Russell, C., & Lavie, N. (2001). 顔の変更。フリッカーパラダイム(刺激がちかちか変わる)における検出優越。Psychological Science, 12(1), 94-99; Vuilleumier,P.(2000). 顔は注意を引く:視消衰(visual extinction)を持った患者という根拠。Neuropsychologia, 38(5), 693-700.).本研究では、Mack&Rockの“inattentional blindness”パラダイム(非注意による見落とし:見えているのに見えてない) を用いて、第1課題に注意を集中しているときでも、予期しない、課題に無関係であるヒトの身体刺激が、認識されるのかを調査した。ヒトのシルエット画像や線画、手のシルエット画像が、モノシルエット画像やモノ線画、ヒトの全身や一部、もしくはモノのスクランブルされたシルエット画像を含んだその他の統制刺激と比較された。参加者は、統制刺激に比べてヒトの姿をより検出することができた。これらの結果から、ヒトの身体は、顔と同様、注意の選択において優先されている可能性が示唆された。さらに総合的には、本稿の結果は、視覚システムが強く選択的な皮質野において表される種類の刺激に対して注意の優位性を与えているという仮説とも一致する。

発表者:橋本