No.413-2(2007/2/1)

Quantity-based judgments in the domestic dog (Canis lupus familiaris).

(イヌにおける、量に基づいた判断)

Camille W & Smuts BB.(2007)
Animal Cognition ,10,71-80.

私達は2つの実験において、イヌがより多い量の食べ物とより少ない量の食べ物のどちらを選択するかという能力について調べた。実験1において、呈示されている2つの食べ物の量を弁別できるかという能力を、8パターンの組み合わせにおいて、29頭で調べた(分析には18頭分のデータが使用された)。選択肢は同時に呈示され、選択時もそれらを見ることができた。全体として、被験体は少ない量よりも多い量を選択した、しかし、近い数同士の比較は難しかった。実験2において、3つの条件において、実験1のうちの2頭についてテストした。条件1、実験1と類似した方法を用い、8つの組み合わせにさらに1つを追加して、複数回テストを行った。条件2と3において、選択時には食べ物が見えなかった、しかし条件2では、視覚的に見えなくされる前に、食べ物の選択肢を同時に見ることができた。条件3では、食べ物は継時的に見せられた。これら後半の2つの条件、特に条件3では、的確に選択するためには、イヌは量について覚えておく必要があった。選択時に食べ物が同時に見えなくても、なおイヌは少ない量よりも多い量の方を選択した。より多い量を選択するメカニズムとして、匂い手がかりと実験者が不注意に与えてしまう手がかりについては排除した。結果は、同じような課題でテストされた類人猿のように、イヌにも内的な表象や、心的に量の比較をするものがあることが示唆された。

発表者:高岡