No.416-1(2007/2/22)

Social cognition in the domestic dog: Behaviour of spectators towards participants in interspecific games.

(イヌの社会的認知:種間(ヒト-イヌ間)ゲーム参加者に対する観察者(イヌ)の行動)

Rooney NJ & Bradshaw JWS (2007).
Animal Behaviour ,72,343-352.

社会的認知、特に社会的グループメンバー間の相互作用を観察して社会的情報を引き出すことについて、霊長類では広く研究されている。しかし他の社会的ほ乳類については、イエイヌ(Canis familiaris)についての逸話が報告されている他は、注目されていない。私たちは、なにか物について争うヒトとイヌ(「参加者」、「デモンストレイター」)間の統制された相互作用を見ていた「観察者」のイヌが、その後、自由に参加者と相互作用する行動を記録した。その争いが遊びであったとき(それはヒトが出すシグナルで表すのだが)、観察者は、勝者に最初に、かつ/または速く近づくことが多かった。ゲームの勝者は社会的パートナーとして望ましいと受け取られたようだ。ヒトが遊びシグナルを出さなかったときは、社会的文脈が遊びから資源を巡る争いに変わるので、観察者は参加者のどちらかにゆっくり近づいた。争いの参加者は遊びの参加者よりも社会的パートナーとして望ましくないと思われる。もしイヌがゲームを見るのを妨げられたら、そのまま勝者と敗者にはそれぞれ別の行動をするのだが、その行動はゲームを見ていた後の行動とは同じではなかった。私たちは、観察者のイヌはゲームの直接観察からと同様に、参加者のその後の行動からも情報を得ていると結論づける。

発表者:森崎