No.416-2(2007/2/22)
Infants’ perception of goal-directed actions: development through cue-based bootstrapping.
(乳児の目的指向的行為の知覚:手がかりを基にしたブートストラッピングを通じた発達)
Biro S & Leslie AM (in press).
Developmental Science .目的指向的行為に関する感受性が生後1年以内に現れることは現在広く受け入れられている。しかしながら、この感受性がどのように現れ、発達するのかという問題は現在も議論が続けられている。ある見方では観察できる行動手がかり(behavioral cues)の役割を強調しており、他の見方では自身の行為産出経験の役割を強調する。4つの実験を通して、私たちはこれら2つの見解を比較する。実験1では、6ヶ月の乳児が人の馴染みのない行為を目的指向的と解釈できることが示された。実験2・3では、無生物の行為に自己推進性(self-propelledness)と行為の効果(action-effect)といった行動手がかりが含まれている場合、12ヶ月児と9ヶ月児が無生物の行為にも目的を帰属できることが示された。実験4では、6ヶ月児でも、無生物の行為に等結果性(equifinality)、自己推進性、行為の効果の3つの行動手がかりがあると、無生物の行為を目的的に解釈できることがわかった。これらの結果は、目的指向性を帰属する能力は、必ずしも特定の行為に対する実際の経験から生じるわけではないこと、十分な行動手がかりが利用できる限り、行為者の外見とは無関係であることを示唆する。私たちは、初期の行動手がかりに対する感受性がさらに次の手がかりの学習をもたらすという手がかりを基にしたブートストラッピング・モデル(cue-based bootstrapping model)を提唱する。学習された手がかりは、(初期の手がかりとは)異なった動作主や行為について目的指向性の情報を与える。生得的な基盤と学習プロセスを組み合わせることで、手がかりを基にしたブートストラッピングは、行為を目的指向的に理解するという乳児の能力の出現に関する異なる見解を調和することができるだろう。
発表者:梨原