No.417-1(2007/3/1)
Social grooming in the kindergarten: The emergence of flattery behavior.
(幼稚園における社会的グルーミング:へつらい行動の出現)
Fu G & Lee K.(2007)
Developmental Science ,10,255-265.本研究は、年少児のへつらい行動の出現と、それが示されるかどうか、また、いかに示されるかに影響を与える要因について検討した。3歳から6歳の就学前児は、見知らぬ成人(実験1と実験2)、見知らぬ子ども(実験2と実験3)、クラスメートと自身の先生(実験3)によって描かれた絵を、その人たちがいるときといないときに評定するように求められた。年少の子どもは、その人たちの在・不在に関わらず、同じ絵に対して一貫した評定を行った。一方、多くの年長の子どもは、その人たちがいないときよりも、いるときによりへつらった評定を行った。また、年長の子どもは、相手が成人であろうが子どもであろうが、へつらい行動を見せた。しかしながら、彼らは見知らぬ相手よりも、見知った相手によりへつらい、このことは、へつらい行動が使用される社会的状況への感受性が出現していることを示している。これらの発見は、就学前児が他者についての本当の気持ちや考えを露骨に表現しないことを既に身に付けていることを示唆している。むしろ、彼らは社会的文脈に応じてコミュニケーションを操作することができるのである。
発表者:森口