No.418-2(2007/3/8)

Learning, memory and predator avoidance by freshwater snails: effects of experience on predator recognition and defensive strategy.

(淡水産巻貝による学習と記憶、捕食者の回避:捕食者の認識経験と防衛戦略の影響)

Turner AM, Turner SE & Lappi HM.(2006)
Animal Behaviour ,72, 1443-1450.

学習は、特定の環境に対する捕食者回避反応を動物に微調整させるかもしれない。しかし、多くの分類群において捕食者回避行動がどの程度まで経験に依存するかは分かっていない。我々は捕食者への露出を操作した3つの実験を行うことによって、サカマキガイ(Physa acuta)の捕食者リスクの知覚と防衛戦略の選択が、経験の影響を受けるかどうかを評価し、次に捕食者手がかりに対する行動的反応を分析した。最初の実験では、野生のサカマキガイ(捕食者にさらされた)と捕獲して育てたサカマキガイ(捕食者にさらされなかった)の対捕食者反応を比較することによって、我々は学習した回避行動の範囲を評価した。野生のサカマキガイは、捕獲して育てたサカマキガイよりも、昆虫を餌とする捕食者や巻貝を餌とする捕食者、つぶれた巻貝の手がかりに対して、より強い反応を示した。ザリガニと一緒の環境で育ったサカマキガイと一緒ではない環境で育ったサカマキガイを使った第2実験では、両方のサカマキガイが魚とザリガニに反応したが、その防衛戦略は経験に依存した。捕食者への露出なしで育てられたサカマキガイは、隠れて動くことによって魚手がかりに反応したのに対して、ザリガニと育てられたサカマキガイは、水面へ動くことによって魚に反応した。最終的な実験もまた捕食者に対する露出を操作し、その結果、魚のいない池のサカマキガイが魚とザリガニの両方に反応したが、その反応は経験に依存しないことが示された。全体的に経験の影響は重要ではあったが、サカマキガイの生息地における捕食者手がかりの全体的な影響と比較すると小さかった。そして、このことはサカマキガイの対捕食者反応が主に生来のものであることを示している。

発表者:上垣