No.419-2(2007/3/15)

Retaliatory mafia behavior by a parasitic cowbird favors host acceptance of parasitic eggs.

(托卵性コウウチョウによる報復的マフィア行動が托卵先の巣における容認を助ける)

Jeffrey PH & Scott KR.(in press)
PNAS ,in press.

托卵された巣の主は自分達の卵や雛と托卵されたそれらが全く似ておらず世話をする負担も大きいのに、なぜ受け入れるのだろうか。科学者達はこの進化の謎を、進化の遅延や均衡などで説明できると主張してきた。しかし、托卵する鳥が、托卵された卵を排除し托卵行動を拒絶する巣の主にはその鳥の卵や雛を割ったり殺したりすることで托卵先の鳥の受け入れを強要している可能性を考える者はほとんどいない。この報復的「マフィア」行動はこれまでに托卵する種であるカッコウの1種において報告されたことがあるが同じく托卵する種であるコウウチョウでは確認されていない。本研究においてコウウチョウ (Molothrus ater)におけるマフィア行動の実験的証拠を示す。マフィア行動を実験的に調べるため、同種の巣において、コウウチョウの卵の除去とコウウチョウの巣への立ち入りとを統制した。コウウチョウの立ち入りを可能にした場合、「卵受容者」の6%しか攻撃を受けなかったのに対して「卵排除者」の56%が攻撃を受けた。コウウチョウの立ち入りを常に不可能にしていたり、実験者がコウウチョウの卵を除去した後に立ち入りを不可能にした巣は一つも攻撃を受けなかった。托卵されていない巣は、コウウチョウの立ち入りを可能にした場合中間の割合(20%)で攻撃を受けたことから、コウウチョウは時々巣の主に対して托卵のさらなる機会を作るために「巣作りの委託」をしているのかも知れない。コウウチョウは、攻撃を受けて作り直した巣に最も(85%)托卵した。コウウチョウによる攻撃行動のため、排除者の巣は受容者の巣に比べて主の子供が生まれる割合が60%低かった。コウウチョウにおける広範な攻撃行動は、コウウチョウが普段托卵する100種以上の主における排除行動の進化速度を落とし托卵できる主の数を増大させるのであろう。

発表者:渡辺