No.531-1(2009/07/30)

Disambiguating the “guilty look”: Salient prompts to a familiar dog behaviour.

(イヌの“うしろめたい表情”の曖昧さについて)

Horowitz A (2009)
Behavioural Processes, 81: 447-452.

 擬人化は、一般的に飼い主によってイヌを描写するときに用いられる。イヌについての感情と理解の帰属は妥当なものなのか、または、人間の心理学的な用語を人間以外にいささか不確かな形で応用したものなのか、というのは興味深い。一般的にイヌについてなされる帰属の1つとして、してはいけないことをした時にイヌが罪を感じているように見える“後ろめたそうな表情”(“guilty look”)というのがある。本研究ではこの擬人化を実験的に検証する。14頭のイヌの行動を、一連の試行にわたって録画し、飼い主によって識別された“後ろめたい表情”と一致する要素に分析した。それぞれの試行は、飼い主が退室している時に、食べることを禁止されている食べ物についてイヌが不服従な態度を示す機会について、また飼い主についても、飼い主がいない時にイヌが何をするかについての知識について異なっている。結果、後ろめたい表情に関係している行動について違いは見られなかった。対照的に、イヌが反抗的である場合ではなく、従順な時により叱ることの効果があった。これらの結果から言えることは、いわゆるうしろめたい表情というのはつまり、悪いことをきちんと認識していることを示していることではなく、飼い主の手がかりに対する反応といえる。

発表者:高岡