No.583-2(2010/10/14)
A common allele in the oxytocin receptor gene (OXTR) impacts prosocial temperament and human hypothalamic-limbic structure and function
( オキシトシン受容体遺伝子(OXTR)のアレルは、ヒトの向社会的気質と、視床下部‐辺縁系の構造および機能に影響を及ぼす )
Tost H, Kolachana B, Hakimi S, Lemaitre H, Verchinski BA, Mattay VS, Weinberger DR & Meyer-Lindenberg A (2010)
PNAS , 107; 13936-13941オキシトシンは、進化的に非常によく保存されている神経ペプチドであり、ヒトを含む哺乳類の社会的、感情的行動を仲介する鍵となる。オキシトシン受容体遺伝子(OXTR)における、よく知られた多型(rs53576)は、母性や共感といった、社会的行動の表現型や、社会的障害に関わる、神経精神病理学的障害と関連があるとされてきた。しかし、そこに介在する神経メカニズムは知られていない。今回我々は、OXTRのリスクアレルをもつヒトにおける、構造的および機能的な変化と、気質との関連を調べるために、健常なヒトの大きなサンプルで、マルチモーダルな神経イメージングをおこなった。感情が顕著に表出された社会的刺激を処理している間における、扁桃体の活動と領域間結合は、有意に遺伝子型の影響を受けていた。加えて、オキシトシン作動性領域が構造的に変化している証拠が、特に視床下部において見られた。これらの神経的特徴は、報酬依存性のレベルが、とりわけ男性のリスクアレル保持者で低いことを予測した。我々の発見は、性に依存したメカニズムが、臨床的に重要な可能性のある、視床下部‐辺縁系回路の構造と機能に影響を及ぼしていることを示すものである。 発表者:堀