No.724-2(2013/10/24)

Non-genomic transmission of paternal behaviour between fathers and sons in the monogamous and biparental California mouse.

(単婚で二親性のカリフォルニアマウスにおける養育行動の父親−息子間での非遺伝的伝播)


Gleason ED & Marler CA. (2013)
Proceedings of the Royal Society B,280: 20130824.

 母性行動は、発達中の仔の健康や幸福に長期的で大きな関わりを持つ。単婚性のカリフォルニアシロアシマウス(Peromyscus californicus)において、両親による世話は仔の生存に重要である。我々は、齧歯類における母親の世話と同様に、父親の身を寄せたりグルーミングしたりする行動(HG)が行動的メカニズムを通して将来世代に伝わりうるという仮説を検証した。カリフォルニアマウスでは、テストステロンが父親のHG行動を維持している。本研究では、我々はランダムに選んだオスに対して去勢もしくは疑似手術を施し、通常通りに彼らの仔を育てさせた。これらのオスの息子個体が成熟した後にメスとペアにし、彼らの仔とのやりとりを観察した。去勢オスの息子個体の養育行動は、父親同様、疑似手術オスの息子よりも低いレベルであった。また、去勢オスの息子は自らの仔をより多く運搬した。両親がいるときは、去勢オスの息子の探索行動は少なかった。これらのデータは、父性行動がエピジェネティックな機構によって母性行動同様に将来世代に伝わりうるという仮説を支持し、また二親性の種では両方の親が仔の行動的発達に寄与することを示唆している。  発表者:別役