No.774-1(2014/11/6)
Episodic simulation and episodic memory can increase intentions to help others.
(エピソード的シミュレーションとエピソード記憶は他者を助ける意図を増加させうる)
Gaesser B & Schacter DL (2014).
Proceedings of the National Academy of Sciences, 111 (12), 4415-4420.共感はヒトの社会的やりとりにおいて重要な役割を果たしている。共感は多角的な構成概念であり、向社会的な動機づけや困っている他者を助けようとする意図が含まれる。ヒトはよく困っている他者を進んで助けようとするが、ときおり(e.g. 集団間葛藤場面などで)共感的な反応の減衰や消失が起こる。向社会的傾向に内在する認知機構の検証は、視点取得や感情共有による促進的役割に焦点が当てられてきたが、エピソード的シミュレーションやエピソード記憶が向社会的な意図を促進するかについてはこれまで明らかでなかった。今回我々は、特定の出来事の鮮明な想像や想起によってヒトがエピソードを構成する能力が、他者を助ける意志を促進するかどうかを検証した。3つの実験によって次のことが示された。すなわち、他者の苦境を描写する状況が提示された際、その人を助ける出来事を想像したり過去の人助けの出来事を想起したりする行為は、他のさまざまな統制条件と比べて現在の困っている他者を助けようという向社会的意図をより増加させた。また、構成されたエピソードの鮮明さが、単なる感情的反応の昂りや視点取得の程度よりもこの効果をよく支持した。我々の結果は、エピソード的シミュレーションやエピソード記憶が共感性を促進する機能に光を当て、また内在するメカニズムについても洞察を与えるものである。 発表者:別役