No.835-1(2016/2/18)

Sexual fidelity trade-offs promote regulatory variation in the prairie vole brain

性的な忠実さのトレードオフによってプレーリーハタネズミの脳における調節の多様性が促進される

Okhovat M, Berrio A, Wallace G, Ophir AG & Phelps SM (2015)
Science, 350: 1371-1374.

 社会行動の個体差は至るところで見られるが、それが脳の多様性とどのように関連しているかはほとんど知られていない。一夫一妻制のプレーリーハタネズミでは、空間記憶に関わる脳領域のバソプレシン受容体(avpr1a遺伝子によってコードされる)の量が、フィールドでのオスの空間使用と性的な忠実さを予測する。我々は、オスにおける忠実さと不忠実さの利益の間にはトレードオフがあり、それは縄張りへの侵入のパターン、子の父系、avpr1aの発現、avpr1aの対立遺伝子の進化的適応度に反映されていることを発見した。avpr1aの多型の中には、遺伝子のエピジェネティックな状態と神経系での発現を高い精度で予測できるものが含まれていた。また、DNAの多様性のパターンはavpr1aの調節領域の多様性が選択を受けてきたことを示している。プレーリーハタネズミでは、社会的行動の適応度のトレードオフによって神経系と分子の多様性が促進されているようである。(堀)