No.848-1(2016/5/26)

A general intelligence factor in dogs.

(イヌにおける一般知能因子)


Arden, R., & Adams, M. J. (2016).
Intelligence, 55: 79-85.

ヒトにおいては多数の研究が、認知能力は"g"factorの影響を受けてオーバーラップし、g factorによって個体差の多くを説明できることを示してきた。本研究では、イヌにおける知性の構造を決定するため、68頭のボーダーコリーにおいて認知能力の個体差を測定した。4種類の回り道課題と繰り返しのある2種類の物体選択課題(指さし追従と数量弁別)を実施した。テストの成績を予測するモデルをチェックするため、確証的因子分析を用いた。最もよくフィットしたモデルは3つの下位因子(回り道のスピード、選択のスピード、選択の正解率)と1つの高次因子によるヒエラルキーモデルであった。このモデルは、課題成績の個体差のうち68%を説明することができた。高次因子は単独で17%の個体差を説明することができた。早く回り道課題をクリアできたイヌは選択課題でも高い正解率を示す傾向にあり、このことは一般知能因子によって説明できるだろう。ヒト以外の種でgについて調べることはgの完全な理論を発展させていく上で必要不可欠な要素である--これは、他の種で生態学的要素に関連する課題に頼らず認知能力を調べられるため、可能だろう。他の種の適応度に関連した特徴のなかでどこにgがあるか発見することは、知能の進化を理解する上で、大きな発展となるだろう。 発表者:荒堀