No.961-1(2018/11/29)
Retrospective attribution of false beliefs in 3-year-old children.
(3歳児における誤信念の後方視的帰属)
Király I, Oláh K, Csibra G & Kovács ÁM. (in press).
PNAS.
現在の心理学及び認知科学における議論は、年少児の他者の信念の帰属やトラッキングの能力の性質に関するものである。信念は少なくとも二つの異なるやり方で帰属される。一つは、信念を誘発する状況を観察している間の前方視的なもの、もう一つは、信念をもたらした事象の詳細のエピソーディックな検索を基づいた後方視的なものである。我々は、前方視的な信念の追跡(track)ではなく、後方視的な帰属だけが、幼児に誰かが誤信念を持っていることを正しく推測できるようにする課題を開発した。18ヵ月児及び36ヵ月児が、サングラスを着用した人が見ていた置き換え事象を観察した(実験1)。後で、サングラスが不透明であること(見えないこと)がわかると、36ヵ月児は、その人は、物体の位置に関する誤信念を形成していたことを推論できた。また、36ヵ月児は、間違って帰属された誤信念を必要に応じて修正し、逆方向の後方視的な修正も同様に出来た(実験3)。したがって、幼児は、明示的な誤信念課題を通過するよりも前に、エピソード記憶に基づいて後方視的に信念を計算できる。18ヵ月児は、そのような課題には失敗した。このことは、信念の後方視的に帰属させたり、最初の信念の帰属を修正したりすることはできないことを示す。しかしながら、追加実験によって、18ヵ月児における、誤信念の前方視的なトラッキングの証拠を得た(実験2)。これらの結果は、発達初期に他者の心的状態の追跡や更新のための2つの異なるモードを特定するということだけでなく、年少の幼児におけるエピソード記憶の確かな証拠を供するものである。 発表者:板倉