No.961-2(2018/11/29)
Bottlenose dolphins can understand their partner's role in a cooperative task.
(ハンドウイルカは協力課題でパートナーの役割を理解することができる)
Jaakkola K, Garino E, Donegan K, King SL. (2018).
PNAS.
ここ数十年で、ヒト以外の動物が協力場面においてパートナーの役割を理解しているかどうかを調べる多くの研究がなされてきた。しかし、これらの課題の比較的寛容なタイミング要求は、動物が意図した共同ではなく、単純な行動戦略を使って課題に成功することを理論的に可能にする。本研究では、ハンドウイルカが正確な行動の同期が必要なボタン押し課題を学習できるかを調べることで、イルカが協力的なパートナーの役割を理解できるかを検討した。具体的には、協力ペアは、パートナーと同時にスタートした場合と、パートナーとの遅延が1~20秒ある場合のいずれにしても、ラグーン(潟)を泳いで渡り、水中の各ボタンを同時に(1秒以内に)押すことが要求された。イルカは、パートナーを待たなければならない時にも極めて正確に一緒にボタンを押した。また、イルカのパフォーマンスは、研究経過に連れて改善されており、後半試行においては、1つ目のボタンが押されてから2つ目が押されるまでの時間は平均370ミリ秒だった。これらの結果から、ハンドウイルカは協力的場面でパートナーの役割を理解するようになることが示された。また、野生のイルカの同期運動や同調的な同盟ディスプレイにおける行動の同期性は、新しい協力課題を解決するためにも利用できる一般化された認知能力かもしれない。 発表者:Bourgeois