No.962-1(2018/12/6)

Rhesus monkeys metacognitively monitor memories of the order of events.

(アカゲザルはイベントの順序を憶えているかをメタ認知する)


Templer VL, Brown, EK & Hampton RR. (2018).
Scientific Reports, 8; 11541.

 ヒトのワーキングメモリは、情報の保持と操作がメタ認知の制御下にある能力、そして、保持時間が制限されたシステムである。ヒト以外の種でもワーキングメモリ内にある情報をモニタリングし制御する種が複数報告されているが、個別の記憶の有無のモニタリングや制御といった比較的単純な場面での検討しか行われてきていていない。本研究では、より複雑な順序記憶課題に記憶の内省能力をはかる手続きを加えた。サルに5つの刺激を順に呈示し、テスト場面では呈示された2つの刺激のどちらが先に呈示されたかを回答するよう求めた。そして課題中にテストを行うかopt outするかを選択した。結果、サルは正答を知っていることを知っていた。テスト刺激の呈示間隔が近いほど正答率が下がり、opt out選択は容易な試行でよりも難しい試行でより頻繁に見られた。サルは刺激間の時間順序の表象を含むワーキングメモリ内の情報の比較的複雑な特性をメタ的にモニタリングができることを本研究の結果は示唆する。   発表者:岸本