No.962-2(2018/12/6)

Cats (Felis silvestris catus) read human gaze for referential information.

(ネコはヒトの視線を参照的情報として読み取る)


Pongrácz P, Szapu JS & Faragó T. (in press).
Intelligence.

 ネコはたいてい、イヌと同様に、ヒトの家庭内の人為的ニッチに居住している。動物行動学においてネコの認知研究はまだ不十分である。本研究の目的は、イヌ─ヒトのコミュニカティブなインタラクションを決定づける2つの要素(明示的シグナルへの感受性、視線追従)がネコでも示されるのかを調べることだ。二者選択課題で、明示的または非明示的なコミュニカティブな状況において、機能的または瞬間的な視線を用いた。41頭のネコを家庭で調査した。グループレベルでのネコの全体の成功率は70%に達しており、ネコは参照的な手がかりとしてヒトの視線に追従できることを示す。ネコの成功率は視線の種類や、明示的コミュニケーションの有無に影響を受けなかった。つまり、ネコはより難しい瞬間的な手がかりにも簡単に従った。1歳以下の若いネコは大人のネコよりも成功率が高い傾向が見られた(p = 0.085)。明示性はアイコンタクトの潜時に有意な効果があり、実験者が明示的なシグナルでネコの注意を引いた際に最も短かった(p = 0.006)。本研究の結果から、ヒト─動物のインタラクションでは、より難しい視覚的な参照シグナルの一種と考えられているヒトの視線に従う能力が、ネコにあることが初めて示された。明示性はネコの成功率に影響を与えなかったが、ヒトの明示的シグナルは非明示的な発声より効果的に注意を誘発することがわかった。ゆえに、本研究は、イヌを除くヒト以外の動物種におけるヒトの明示的なシグナルへの感受性の存在について、知見を与える初めての研究である。これらの結果は、祖先種が高度に社会的な種ではないネコのような動物でも、ヒトとうまくやっていける社会認知能力の発達においては、家畜化の過程と社会化への応答性が関連している可能性を強調する。   発表者:千々岩