No.963-2(2018/12/13)

Response to novelty as an indicator of reptile welfare.

(爬虫類の幸福の指標としての新奇性への反応)


Moszuti SA, Wilkinson A & Burman OHP. (2017).
Applied Animal Behaviour Science, 193: 98-103.

 哺乳類や鳥類の幸福に関する研究は数多くなされてきたが、爬虫類に関しては、飼われることにどのような影響を被るのか、あるいはどのように幸福を計ればよいのかについてほとんどわかっていない。本研究では新奇性への反応―ヒト以外の動物のanxiety-like行動を評価する、延いては幸福を評価する手法として用いられる―は、哺乳類・鳥類と同様の評価方法を爬虫類にも応用できるのか、また、爬虫類に特有、さらに(あるいは)、種ごとに特有な行動があるのかを二種の爬虫類を対象に検討する。アカアシガ(Chelonoidis carbonarius)8個体とフトアゴヒゲトカゲ(Pogona vitticeps)17個体を対象に、熟知環境と新奇環境における10分間の行動を観察、記録した。アカアシガメは新奇環境に置かれたときよりも熟知環境に置かれたときにより早く行動し始めた。また、熟知環境においてより長く首を伸ばす行動をとり、どちらの環境であっても時間が経つにつれて長く伸ばすようになった。爬虫類以外の動物でも見られるように、アカアシガメは新奇環境においてanxiety-like行動を示した。逆に、フトアゴヒゲトカゲは新奇環境においてより頻繁にtongue-touches行動(TT)を示したが、行動までの潜時に関しては環境間に差はなかった。この結果は、フトアゴヒゲトカゲは環境間の差は認識しているが、この差は必ずしもanxiety-like行動に結びつくものではないということを示す。本研究により新奇性への反応を爬虫類のanxiety-like行動を評価する方法として用いることができることが示唆され、飼育環境における爬虫類の幸福を評価する際に今後用いられ得る、種に特有な行動を明らかにしたが、種間での差異をより広く調べる必要性を強調することになった。   発表者:横畑