No.964-1(2018/12/20)

Working dogs transfer different tasks in reciprocal cooperation.

(イヌは別の作業を通して利他行動のお返しをし、協力的にふるまう)


Gfrerer N & Taborsky M. (2018).
Biology Letters, 14: 20170460.

 直接的互恵性によって、血縁関係のない個体同士の間で安定した協力が達成される。直接的互恵性のモデルでは、エージェントは同等なものを交換するという仮定が置かれているのが一般的だが、自然なインタラクションでは必ずしもそうとは限らない。継続的な互恵的援助の中に異なる課題が含まれている場合に、動物が直接的互恵性のルールを適用するかどうかはまだ明らかでない。今回、我々は作業犬が繰り返し囚人のジレンマパラダイムにおいて、ある協力的課題から別の協力的課題へ、援助を転移させるかどうかを検討した。本実験で、イヌは特定の課題において別の個体から援助を受けて食物を得た。その後、対象個体は、別の課題を通して受けた恩を返すことができた。作業犬は、以前に協力してくれたパートナーを助ける場合には、ある課題で受けた協力の経験を別の課題に転移させた。一方、イヌは以前に援助をしてくれなかったパートナーは助けなかった。これは、イヌが同種他個体の協力的な行為を理解しており、それによってその個体を異なる手段で助ける傾向が変化することを示唆する。動物が直接的互恵性の基準を満たすことによって社会的パートナーを助ける場合に異なる課題を転移させる能力は、自然界に置いて互恵的協力が頻繁に起こることの説明になるかもしれない。   発表者:堀