No.968-2(2019/1/31)

Behavioral interference among eusocial naked mole rats during work.

(真社会性のハダカデバネズミは仕事中に妨害する)


Kutsukake N, Inada M, Sakamoto SH & Okanoya K. (in press).
Journal of Ethology.

 協同繁殖をおこなう種では、他のグループメンバーを妨害する個体がいることが報告されている。しかし、このような行動の発生要因や機能についてはよく分かっていない。真社会性哺乳類であるハダカデバネズミ(Heterocephalus glaber)は頻繁に他個体のしっぽを口で引っ張り他の場所へと運ぶしっぽ引き行動(tail-tugging)をおこなう。本研究ではこの機能について実験的に調べた。3つのコロニーで行動観察をおこなったところ、この行動はどのカテゴリーの個体(女王、繁殖オス、ワーカー)においても観察された。さらにしっぽ引き行動は仕事中に生じやすく、行為者がよく働いていた場所で多く観察されたことから、この行動は働く場所を独占するための機能があると考えられる。この研究は、共同繁殖をおこなう種における行動干渉の珍しい例を紹介し、真社会性哺乳類においてコロニーメンバーの間で働く機会をめぐる対立が生じていることを示している。   発表者:堀田