No.970-1(2019/2/14)

The evolutionary road from wild moth to domestic silkworm.

(野生のガ目から家畜のカイコへの進化の道)


Xiang H et al. (2018).
Nature ecology & evolution, 2(8): 1268.

 シルクロードのその名は、カイコ(Bombyx mori)によって作られた絹の交易に由来する。このシルクロードは、人類の文明の発展と交流において重要なエピソードであった。しかし、カイコの家畜化に関する詳細な歴史は曖昧なままであり、その家畜化において重要な遺伝的基盤はほとんど分かっていない.本研究では、代表的な137のカイコの系統をシーケンスすることで、家畜化プロセスを構築し、選択的一掃を特定した.結果からは、カイコはクワコから、3眠蚕(3回脱皮して繭を作る)の系統としてまず中国で家畜化され、シルクロードに沿って別々に広がってほとんどの在来系統となり、これらの系統をもとにさらに中国と日本で改良系統となったことが分かった。また、窒素・アミノ酸代謝において重要である遺伝子が繭生産の促進に貢献しており、概日リズムに関連する遺伝子の多くも局所適応のために選択されていた。本研究ではいくつかの候補遺伝子と重要な飼養特性の関連も発見し、これからの研究に応用できることを示した。   発表者:荒堀