No.970-2(2019/2/14)

Tortoises develop and overcome position biases in a reversal learning task.

(カメは逆転学習課題において位置バイアスを持ち、克服する)


Bridgeman JM & Tattersall GJ. (in press).
Animal Cognition.

 新規またはよく知る刺激に応じて行動を変える動物の能力や行動の柔軟性は、新規環境における学習能力と強く結びついている。爬虫類は複雑な課題を学習することができ、視覚的熟達と行動の柔軟性の関係を研究する独特な機会を提供してくれる。本研究の目的は、アカアシガメの行動の柔軟性と逆転学習の能力を調べることであった。逆転学習は特有の弁別課題学習で、前に報酬を得た手がかりが逆転した後、被験体は新しい報酬随伴性の課題を行う。アカアシガメは、Y字迷路内の視覚的手がかりを認識し、接近することを学習する必要があった。カメは一度視覚弁別を学んだら、4回の逆転を正しく学習することが求められた。カメは最初の逆転で水準以上(正答率80%)に達することが要求された。これは、訓練中提示された正刺激を忘れることの難しさを示唆する。それにもかかわらず、次に起こる逆転に必要だったセッション数は訓練と同じくらいであったことから、逆転学習はある程度まで上達したことを示す。全ての被験体が、訓練に先立って存在しなかったY字迷路において、位置バイアスを持つようになったが、ほとんどが逆転学習を示すことができた。アカアシガメは、lose-shift選択方略をとるには十分な証拠がない弁別学習中には、主にwin-stay選択方略を取り入れており、これは彼らの行動の柔軟性の限界を説明できるだろう。しかし、複数の逆転を通じてパフォーマンスが改善し、同時に位置バイアスを克服したことはカメの認知能力に洞察を加える。   発表者:Budai