No.971-1(2019/2/21)

Visual working memory buffers information retrieved from visual long-term memory.

(視覚ワーキングメモリは視覚長期記憶からの情報をバッファする)


Fukuda K & Woodman GF. (2017).
PNAS, 114(20): 5306-5311.

 ヒトの記憶は長期貯蔵庫と短期貯蔵庫から構成されると考えられており、後者はワーキングメモリとして知られている。長期記憶から想起される情報はワーキングメモリで表象されることが想定されているが、このことに関する神経学的証拠は得られていない。高い時間解像度で実現される、ワーキングメモリへの取り出しを観察できる神経計測が必要とされる。我々はヒトの電気生理的手法を用い、長期記憶からの想起中ワーキングメモリに呼び戻される情報を追跡することができることを示す。具体的には、長期記憶からの情報の想起は一度にいくつかのオブジェクトの情報に限られ、新しい情報をワーキングメモリに記銘する際に観察される電気生理的活動と似たパタンを示すことを発見した。これらの結果は、ワーキングメモリが長期記憶から取り出される情報をバッファする場所であることを示唆し、記憶想起に関する現在の理論と記憶メカニズムに関する古典的な考えを結びつける。   発表者:幡地