No.972-2(2019/2/28)
Brain size, ecology and sociality: a reptilian perspective.
(脳の大きさ、生態と社会性:爬虫類視点)
De Meester G, Huyghe K & Van Damme R. (in press).
Biological Journal of the Linnean Society.
脳が大きく進化するのは、高度な認知的・行動的柔軟性を駆使して、環境の複雑さに対処するためである、と仮定されている。生息地や社会性の複雑さと脳の大きさとの関連は何十年と調べられてきたが、その結果は一貫していない。どのような選択圧により大きな脳は支持されるのか、また、異なる分類群においても同様の選択圧があるのか、ということは明らかになっていない。特にこのことは、大半の研究は哺乳類あるいは鳥類に限定されていることからも言える。今回われわれは、生息地や社会性の複雑さがもたらす脳の大きさへの影響に関する初の大規模な比較研究を、171種のデータセットを用いて、有鱗目(トカゲとヘビ)を対象として行う。われわれの研究は、四肢の退化率と生物地理学的起源は、脳の相対的な大きさと関連がある、という先行研究の結果を確かなものにした。生息地の複雑さは脳の大きさには影響を及ぼさず、非社会的な種は社会的な種よりも大きな脳を持つ。これらの結果から、他の分類群と比較して、有鱗目では異なる選択圧が脳の大きさの進化に働いたと示唆された。今後の研究では、伝統的ではない、他の分類群を対象とした比較研究を行う必要がある。これは、脊椎動物の脳がどのように進化してきたのかをより包括的に理解するために役立つだろう。 発表者:横畑