No.973-2(2019/3/7)

Emotion makes a difference: Induced sadness reduces preschool boys' sharing behavior.

(感情が違いを生む:引き起こされた悲しみは就学前の男の子の分配行動を減少させる)


Guo R, He Z & Wu Z. (2019).
Evolution and Human Behavior, 40: 148–155.

 本研究は、外部からの負の感情的な刺激が5・6歳児の分配行動にどのような影響を与えるのかを調査した。子どもは、悲しみまたは中立な感情を引き起こすビデオを見たのち、貧しい受取人と裕福な受取人に同時にシールを分配するよう頼まれた。中立感情条件と比較して、悲しみの感情を引き起こされた男の子は分配が少なく、自己志向的な分配の理由が増加した。しかし、女の子はどちらの感情条件でも同じくらい分配し、同じくらい自己志向的な理由と他者志向的な理由を述べた。これらの結果は、男の子においてのみ悲しみは自分の利益を守る傾向を増加させることを示唆しており、このことは進化的な男性戦士仮説を支持している。加えて子どもは貧しい受取人より裕福な受取人を好んだが、2人の受取人のあいだに平等に分配した。このことは平等への関心とチャリティー行動の早期の発達を示している。この発見は子どもの資源分配の背景にある社会情緒的プロセスの性別による違いを明らかにし、加えて負の感情の適応機能の発達的証拠を示した。   発表者:溝端