No.974-1(2019/3/14)

Empathy modulates the temporal structure of social attention.

(共感特性は社会的注意の時間的変化に影響する)


Hedger N, Haffey A, McSorley E & Chakrabarti B. (2018).
Proceedings of the Royal Society B, 285: 20181716.

 共感性の低い人は、しばしば社会的な刺激に対して向ける注意が弱い。しかし、この共感性と社会的注意の関係性が時間経過の中で、どのように特徴づけられるかを実証するデータは十分ではない。本研究では、2つのデータセット (合計 n = 176) を分析することでこの問いを検討した。社会的/社会的ではない刺激が同時に呈示された場合に、共感性の自己評定値(EQ)は、注視行動の時間的変化を予測することがGrowth-curve分析を通して明らかになった。いずれのデータセットでも、EQは時間枠を通した社会的注意と相関するだけではなく、社会的注意の時間的変化とも関連した。とりわけ、一定時間経過後の社会的刺激に対する注視に個々人の持つ共感特性が与える効果が検出された。注視対象の切り替え潜時を分析したところ、EQが低い参加者は、最初に見た社会的刺激から、頻繁に、そして早い段階で注意をそらした。こういった注視行動の時間的特性についてモデル化することは有益な行動の表現型を明らかにできるかもしれない。このアプローチの説明力は、共感と関連する過程を有さないことから特徴づけられる条件の指標の精度を高めるかもしれない。   発表者:岸本