No.978-1(2019/4/18)

Absolute brain size predicts dog breed differences in executive function.

(絶対的脳サイズは実行機能における犬種の違いを予想する)


Horschler DJ, Hare B, Call J, Kaminski J, Miklósi Á, MacLean EL. (2019)
Animal Cognition, 22, 187-198.

 動物の認知に関する大きなスケールでの系統を対象とした研究により、絶対的脳サイズと実行機能における種差の関係について明らかにしてきた。しかし、そのような比較研究は霊長類を対象としたものが多い。そのため、そのような関係が霊長類特有のものであるのか、より広いスケールでみられる現象なのかについてはよく分かっていない。イヌは、その幅広い種内のバリエーションから、この疑問について調査するにはふさわしいと言える。私たちは、74の犬種から7000個体以上のデータを使い、絶対的脳サイズと認知機能の関係について調べた。特に、大きな脳をもつ犬種では短期記憶や自己制御が優れていることが明らかとなった。しかし、脳サイズと他の認知機能の関係については様々であったことから、認知機能の進化についてはdomain-specificである可能性が示唆された。私たちの結果は、霊長類のような神経解剖学的特徴をもたなくても、脳サイズの増加が実行機能を正の関係を持つことを示している。また、このような発見は、犬種間でのバリエーションが神経解剖学的な特徴と認知機能の関係を調べる点においてとても有効であることを示しているだろう。   発表者:Budai