Scanning of own- versus other-race faces in infants from racially diverse or homogenous communities.


Ellis AE, Xiao NG, Lee K, Oakes LM (2017)

Developmental Psychology, 59:613-627.


要約

 本研究は、6か月齢と8か月齢の赤ちゃんを対象として、コミュニティメンバーの顔を見る経験が、自人種と他人種の顔を見るときのスキャニングに影響しているかを検討した。顔のパーツごとの注視割合と視線を動かした距離を、顔の情報処理の指標として用いた。人種的多様性の低い地域に住む赤ちゃんでは、月齢や人種(提示された顔が自人種か他人種か)といった要因が顔の各パーツへの注視割合に影響していた。他方で、人種的多様性の高い地域に住む赤ちゃんでは、自人種や他人種の顔を見たときに視線を動かした距離は、赤ちゃんの月齢や顔の人種によって異なっていた。また、住んでいる地域に関わらず、6か月齢の赤ちゃんは、自人種や他人種の顔に同じように反応していたが、8か月齢の赤ちゃんは、自人種の顔と他人種の顔に対して、異なる反応をしていた。さらに、住んでいる地域の人種多様性によって、8か月齢児が他人種の顔を見るときの視線パターンに違いが見られた。以上のことから、家族以外のコミュニティメンバーの顔を見ることが、6か月齢と8か月齢における、自人種と他人種の顔を見るときのスキャンパターンの発達に影響していると考えられる。