See and be seen: Infant?caregiver social looking during locomotor free play.
見ることと見られること:自由遊び場面における乳児―養育者間の社会的注視

Franchak, J. M., Kretch, K. S., & Adolph, K. E. (2017)

Developmental science


要約

乳児と養育者の間の対面交渉は発達研究の柱となるものだ。しかし、二者間交渉を題材とする実験室でのパラダイムの多くは、乳児と養育者を固定した位置に座らせて対面させることで、相手の顔を見るという行為をあまりにも簡単に扱ってきた。ペアの双方が動くことができるような、より制約の少ない状況では、互いを見るために乳児と養育者は頭部と身体を動かさなくてはならない。本研究では、見る行為の運動コストの増加に伴って、各ペアの相互注視や、相手の顔に対する注視行動が減少するのではないか、と仮説をたてた。この仮説を検証するため、生後12か月のハイハイ児および歩行児、その養育者に頭部装着型視線計測装置を装着してもらい、おもちゃの多いプレイルームで自由遊びをしている間の、乳児・養育者の眼球運動を計測した。その結果、運動コストが増加するほど、顔を見る行動や相互注視が減少した。各メンバーは、自分または相手の姿勢によって、パートナーの顔に対する視覚的なアクセスを得るためにより多くの運動の努力をしなければならないときに、パートナーの顔を見る時間が少なくなった。顔を見る行動を促進するためか、養育者の姿勢は乳児の姿勢を反映し、乳児がうつぶせのときにより多くの時間床に座っていた。乳児は養育者の顔よりも多くのおもちゃを注視していたが、養育者は乳児の顔とおもちゃを同じ程度注視していた。さらに、(ペアの動きが)固定された課題の研究に比べて、乳児がおもちゃや顔を見る割合は少なく、運動の制限がない課題が要求する注意は異なることが示された。総合すれば、これらの知見は、実世界での社会的な注視が、絶え間なく変化する運動の制限に影響されていることを示す。