The effects of adding metacognitive language to story texts
Peskin,J., Astington,J.W.2004
Cognitive Development,28,253-273


要約

本研究ではメタ認知的言語を就学前児にふれさせた結果として,心的状態に関する概念的理解が増すかどうか,そしてメタ認知的語彙の産出と理解が増すかどうかを検討した。4週間に渡って,両親,教師,そして大学生によって各対象児(N=48,平均年齢=4;6)に対して約70回絵本を読み聞かせた。実験群には,明白なメタ認知的用語が豊富に存在する文章の伴った絵本を与えた。対照群に与えた絵本は実験群と同じ絵本だが,メタ認知的言語は伴わないものであった。だが,代替的な視点について考える必要が生じる挿絵や文章が伴うものであった。プレテストとポストテストの結果,明白なメタ認知的語彙にさらされた子どもは,ストーリー語り課題において有意に多くメタ認知的語彙を産出したが,メタ認知的言語の理解が増すことはなかった。この結果は,子どもがこういった語彙を概念的に完全に理解する以前から“使用”しているというNelsonの示唆を例証するものである(Language in Cognitive Development: Emergence of the Mediated Mind,Cambridge University Press, New York, 1996)。また対照群の子どもらは,誤信念を説明する課題において実験群の子どもの遂行を凌ぐ結果となった。この結果は,ストーリーにおいて多くのメタ認知的用語を聞くことよりも,心的状態に暗に注目させる挿絵や文章から自分自身で心的な解釈を活動的に構成することの方が重要であることを示唆している。