大森 雅基

タイトル:
三項関係での視線情報が乳児のGaze-Leaderへの選好に与える影響


要旨

自己―他者―環境における三項関係での、他者の視線が乳幼児の学習に与える影響に関して は多くの研究がなされてきた。これらの研究では、「環境」に対する情報処理や選好につ いてのものが多い。本研究では、三項関係で視線を先導するGaze-Leaderへの選好につい て検討した。Gaze-Leaderは、呈示されたオブジェクトに視線を向ける共同注意条件(Joint Attention条件:以下JA条件)と、視線をオブジェクトの反対に向けるNo-JA条件の2条件であ った。その結果、オブジェクトに対して視線を向けるGaze-Leaderへの注視が増加してい た。また、視線の向くターゲットをオブジェクトではなく人物にして、同様にJA条件と No-JA条件のGaze-Leaderへの注視を検討したところ、呈示される人物に対して視線を向 けないGaze-Leader(No- JA条件)への注視テストでの注視が増加していた。これらの研究か ら、乳幼児はオブジェクトが含まれる三項関係ではインフォーマティブな他者を選好する が、複数の他者が存在する場面では他者間での視線インタラクションが行われる期待をも っているために、期待違反でNo-JA条件のGaze-Leaderへの注視が増加する可能性が考え られる。