石 侑昇

タイトル
乳児期における他者の情動情報の理解と利用


要旨

まだ言語を獲得していない前言語期の乳児にとって、他者の表情から得られる情動情報は重要な情報源となる。生後1年前後に現れるとされている社会的参照パラダイムを用いて、12か月児による他者の情動情報の理解と利用について検討する。 研究1では、他者の情動的評価の対象が社会的対象の場合または非社会的対象であるとき、乳児の社会的参照は参照対象の性質によって差がみられるのかを検討した。さらに研究2では、乳児が対象に対する他者の情動情報を利用するか否かの判断が、情報の認知的処理の段階で生じているのか、またはその情報に基づいた乳児の行動産出の段階で生じているのかを視線計測を用いて検討した。最後に、今後の研究についても議論したい。