山本 寛樹(教務補佐員)

タイトル
 前言語期の乳児の言語環境における、会話のアドレス性の経時変化


要旨

前言語期の乳児にとって日常生活で耳にする会話は、言語発達のリソースとなる重要なものである。会話には、複数の参与者が順番交替を繰り返しながら、順番に話し手になるという特徴がある。多人数発話において話し手が発話をする際、複数の聞き手のうち誰に発話を宛てているのかを示すため、「アドレス」手段が伴うことが多い。言語での応答ができない前言語期の乳児において、乳児にアドレスされた発話はどの程度おこなわれるのだろうか?その頻度に発達変化はあるのだろうか?本研究では、前言語期の乳児が経験する日常的な言語環境を、発話のアドレス性という観点から分析した。研究協力者の家庭で毎週1-2時間の参与観察を行い、対象となる乳児が生後7か月から生後17か月になるまで、乳児の周囲で誰が誰に対して発話していたかを縦断的に記録した。本発表では、収集したデータの予備的解析の結果とともに、今後の解析方針について議論したい。