No.101-2(2000/1/20)

The navigational feats of green sea turtles migrating from Ascension Island investigated by satellite telemetory
(アセンション島から出発するアオウミガメの回遊能力に関する、人工衛星遠隔測定法による調査)

Luschi, P., Hays, G. C ., Del Seppia, C., Marsh, R. & Papi , F.
Rroceedings of the Royal Society of London , B, 1998, 265, 2279-2284.

アセンション島に巣を作るアオウミガメ(ケロニア・ミダス Chelonia mydas)の移動に関してタグ法を用いた先行研究により、ウミガメが、この大西洋上の孤島と、そこから2300km以上離れたブラジル湾岸の間を往復していることが分かっている。ウミガメの回遊経路が明らかになれば、未だ明らかになっていない海生動物の回遊メカニズムについて推測が可能になるため、我々は、巣作り後アセンション島からブラジルに向かう6匹のアオウミガメのメスの回遊を追跡した。そのうちの5匹が1777-2342km、33-47日かけてブラジル湾岸の最西端の近辺にたどり着いた。最初の1000kmの間、カメの経路は極めて類似しており、そのうちの3匹は、最初の300kmの間、移動日は異なるが経路は全く同じだった。6匹目のカメだけが、アセンション島の周囲の様々な方向へしばらく移動した。その経路からカメが、(1)外洋上で長距離に渡って直線的な経路を維持することが可能なこと、(2)様々な方向へ探索的移動を行っているかもしれないこと、(3)旅の間、外的情報によって経路を適切に補正すること、(4)最初は西南西方向に流れる海流と同じ方向を維持しており、おそらく化学的手がかりを指標としていること、が分かった。

(眞竹)