No.106-1(2000/2/24)

Searching image in blue jays: Facilitation and intererence in sequential priming
(アオカケスにおける探索像:継時プライミングによる促進と妨害効果)

Bond, A. B. & Kamil, A .C.
Animal Learning & Behavior, 1999, 27, 461-471.

複数の見つけにくいターゲットの視覚探索において,単一のターゲットタイプに繰り返しさらされた後では(継時プライミング),そのターゲットに対する成績の向上がよく見られる.これは探索像効果の一部をなす注意に関係する現象であると考えられる.しかしながら,探索像効果が注意の現象であるならば,結果として起こるプライミングは,プライムされていないターゲットに対する成績に妨害効果を及ぼすはずであるという議論がある.しかし,このような妨害効果が明確に示されたという例はまだない.アオカケス(Cyanocitta cristata)が,見つけにくいガの実際のイメージから作ったターゲットをオペラント装置の中で探すという事態で,検出の成績は継時プライミングによって強い促進効果が見られた.しかし,異なるターゲットからなる系列の後では成績はあまり影響を受けないという結果が得られた.後続のプローブ試行における検出の精度は同じタイプのターゲットのプライミングによって高くなったが,より見つけやすいターゲットによってプライミングされた後の見つけにくいターゲットに対するプローブ試行では検出精度は有意に悪くなった.これらの結果は探索像の注意の現象としての解釈を支持するものである.

(山下)