No.194-2(2002/2/28)

An analysis of travel costs on transport of load and nest building in golden hamster.

( ゴールデンハムスターにおける営巣および巣材搬送のトラベルコストの分析)

Guerra, R. F., & Adesb, C.
Behavioural Processes, 2002, 57, 7-28.

ゴールデンハムスターを用いて、巣材搬送と営巣行為におけるトラベルコストの影響について調べた。巣を剥奪された被験体は、巣材の紙片が入ったソースにアクセスするために、30,90,180cmの経路を走る(実験1)か、24時間の実験セッション内で同様のトラベルコストに従事しなければならなかった(実験2)。トラベルコストが増加すると、ソースへの往復回数が減ること、一往復で運ぶ巣材の量が増える(より長い経路では運ぶ荷のトータル量が減っているにも関わらず)こと、往復間のインターバルが長くなること、ソースや、営巣行為で費やす時間が増えることが分かった。採餌効率(運んだ荷量/ソースで費やした時間)はトラベルコストに関連して減少し、被験体は次の二つの基本的な方法で巣材を運んだ:30cm経路では紙片を引っ張るのに単純に口を用いたが、90,180cm経路では荷を頬袋に入れて運んだ。被験体はホームケージへの復路の方がより速く、走行速度(cm/s)は経路の長さに関連して増加した。これは、被験体がリソース探索時と、その後の巣への復路で異なった環境プレッシャー下にあることを示している。雌雄どちらもトラベルコストに敏感ではあるが、雄の方が営巣行為により敏速に従事し、多くの指標においてより高い平均パフォーマンスを示した。巣材はよい強化子となりうることが分かった。また今回の結果はミクロ経済学や最適採餌理論に一致している。

(岩田)