Reorientation in a small-scale environment by 3-, 4-, and 5-year-old children.
(3、4、5歳児による小縮尺環境におけるリオリエンテーション)
Gouteux, S., Vauclair, J., & Thinus-Blanc, C.
Cognitive Development, 2001, 16, 853-869.外観の幾何学的特徴や局所的な情報は空間表象の本質的な要素である。動物(ラット)とヒトの子ども(24ヶ月齢)を対象にした数多くの研究は、長方形の4角のひとつに報酬が隠された環境(空間)状況で、報酬を探索するための方略としては、幾何学的な特性が局所的な手がかりよりも優位であることを示してきた。一方、サルとヒト成人では、リオリエント(reorient)するために両方のタイプの情報(幾何学的および局所)を使うことができる。これまでは、すべての実験は、ナビゲーション課題を含む移動可能空間で実施された。本研究では、長方形の部屋のテーブルトップモデルを使用した状況で類似した探索パターンが見られるかどうかを検討した。3群の幼児(3歳、4歳、5歳)と1群の成人がテストされた。幾何学的なエンコードは4歳児からしか見られなかった。これは、移動可能空間で得られた結果よりも年齢が高くなっている(つまり難しい)。幾何学的および局所的な情報の両方を利用するという方略は5歳児から見られた。こうした結果は、移動可能空間でも操作的空間でも類似した処理が実行されたことを示すが、年令はことなっていた。移動空間課題と操作空間課題の違いは環境に埋め込まれる(環境の中を移動できる)状況が、物体が被験者とは無関係に目の前に存在する課題に向かっている状況よりも、分離された処理をより容易にすることを示唆するものである。
(板倉)