No.197-1(2002/3/28)

Spontaneous representation of number in cotton-top tamarins (Saguinus oedipus).

(ワタボウシタマリンにおける数の自発的表象)

Uller, C., Hauser, M., & Carey, S.
Journal of Comparative Psychology, 2001, 115, 248-257.

「期待違反」事象への注視時間を測定する方法は、ヒト以外の霊長類だけでなく、ヒト幼児における言語以前の心的表象を調べるのに強力な手段であることが証明されてきた。ワタボウシタマリン(Saguinus oedipus)が自発的に数を表象するかという疑問に答えるために、この方法を適用した4つの実験をここでは報告する。被験体には、2つの物体が1つずつスクリーンに隠される1+1事象が呈示された。スクリーンが取りのぞかれると、1+1に「一致する結果」(2つの物体)か、「一致しない結果」(1つの物体、3つの物体、もしくは、2つ分の大きさの1つの物体)が現れた。全ての実験を通して、被験体による注視時間は、「一致する結果」に対するよりも「一致しない結果」に対するものの方が長かった。タマリンが1+1の操作を見たとき、彼らはちょうど2つの物体があると期待するのだろう。このような数的表象は、複数の霊長類が自発的に利用可能であり、ヒトの数の感覚が進化と発達によって構築されたものであるということを基礎づけることができるだろう。

(牛谷)