Global interference: The effect of exposure duration that is substituted for spatial frequency.
(全体性の干渉 −空間周波数に代わるものとしての呈示時間の効果−)
Hibi, Y., Takeda, Y., & Yagi, A.
Perception, 2002, 31, 341-348.本研究では、被験者は、全体レベルあるいは局所レベルで出現するような階層的に構成されたパターンを同定することが要求された。Paquet and Merikle (1984)では、階層的構造の処理において、全体性の干渉global interference が呈示時間に影響を受けるということを示した。彼らは、短時間呈示においては全体から局所への干渉のみ起こることを示した。これに比して、長時間呈示では局所から全体への干渉もみられた。全体性の干渉における呈示時間の効果は、低空間周波数チャンネルに対して高周波数チャンネルに依存していることが示唆された。本研究では、呈示時間(長いか短いか)は試行ごとにランダムに変えられたり(実験1)、同じに保たれたり(実験2)した。実験1では、全体から局所への干渉は、短い呈示時間でも長い呈示時間でも起こった。実験2では、実験1と同じ物理的属性であったにもかかわらず、Paquet and Merikle によって報告された結果と一致するように、全体から局所への干渉と局所から全体への干渉の両方が長い呈示時間でのみ起こった。これは、全体性への干渉における呈示時間の効果は、空間周波数だけでなく、注意のシフトによっても説明されることを示唆する。
(牛谷)