How cross-fosterd chimpanzees (Pan troglodytes) initiate and maintain conversations.
(一緒に育てられたチンパンジーは、どのようにして会話をつくり、維持するのか)
Bodamer, M. D., & Gardner, R. A.
Journal of Comparative Psychology, 2002, 116(1), 12-26.この研究では、もともとは一緒に育てられた4頭のチンパンジー(Pan troglodytes)の間での、典型的な注意引き音や手話による会話を、統計的に集めたものである。これらのチンパンジーは、自由に生活しているが、今は実験施設や親しいヒトの対話者のなかで暮らしている。ビデオテープの記録には、彼らが、1人で背中を向けて机に向かっている人の対話者に出会った時は、その場を離れるか、もしくは注意を引く音を出すことが示されている。彼らが、ヒトの対話者の背中にむけて行う手話は、ノイジーサイン(noisy signs)だけだった。また、ヒトの対話者が振り返って彼らと向き合った時には、彼らに手話を示す傾向があり(98%)、その手話での会話を続けている間は、めったに音を出さなかった。系統的な実験条件のもとでは、チンパンジーによる手話での応答はヒトの対話者の手話の文脈に適していたが、これは普段のフィ−ルドでの観察を確認するものである。
(服部)