What is learned about nontarget items
in simple visual search?
(ヒトは単純な視覚探索課題で、非ターゲットからどのような情報を得るか?)
Flowers, J. H., & Smith, K. L. (University of Nebraska)
Perception and Psychophysics, 1998, 60(4), 696-704.
文字の視覚探索課題において、ターゲットとその出現しやすさの相関構造に対するヒトの感受性が2つの実験で調べられた。それぞれの実験で、非ターゲットのもつ情報が最終ブロックで変化した被験者(Switching群)と 変化しなかった被験者(Nonswitching群)の成績が比べられた。実験@では、被験者はコンピュータ画面上に1つずつ提示される文字列中にターゲット文字(S)が存在するかどうかをYES-NOで答えた。最終ブロックで非ターゲット文字の情報構造が変化する(ターゲットと非ターゲットの相関構造が変化する)と、ターゲット無し試行の反応時間が増加した。実験Aでは、被験者は 3種類あるターゲット(H,P,S)のいずれかを探索した。最終ブロックで非ターゲット文字の情報構造が変化すると、誤反応率と反応時間がそれぞれターゲット有り試行、ターゲット無し試行で増加した。個々の刺激文字列がもつ予告価と反応時間の相関係数からSwitching群、Nonswitching群ともに非ターゲットのもつ情報構造に感受性があることが示された。しかしながら、実験後の質問紙では、実験時に被験者の用いた戦略を自己報告させても、非ターゲット文字の持つ情報構造についてのルールを守った文字列とそうでない文字列の2者強制選択(どちらが実験で使われた文字列と似てるか)をさせても、非ターゲットのもつ予告価についての顕在的知識(意識できるような知識)を被験者はもっていないと示唆された。ゆえに、被験者は単純な視覚探索課題において、非ターゲットのもつわずかな情報構造を、それとははっきり気づかずに、利用しているのかもしれない。
(粟津)