Episodic-like memory during cache
recovery by scrub jays.
(アメリカカケスによる貯蔵餌回収時におけるエピソード記憶に似た記憶)
Clayton, N. S., (University of California at Davis) & Dickinson, A. (University of Cambridge)
Nature, 1998, 395, 272-274.
いつ、どこで、何が特に起こったか、といったような記憶の形態は、ヒトに固有のものだと考えられている。しかしながら、餌を貯蔵する鳥類は、餌の隠し場所や、餌の内容を覚えていることが知られている。さらに、餌を貯蔵する動物は、貯蔵した餌の腐りやすさと、貯蔵と回収の戦略を適合させている。このことは、彼らが時間的な要因に敏感であることを示唆している。そこで、我々はアメリカカケス(Aphelocoma coerulescens)が、"いつ"食物を貯蔵したのかを記憶していることを、腐りやすいハチミツガの幼虫と、腐らないピーナツを回収させることによって明らかにした。彼らは、ハチミツガの幼虫とピーナツを空間視覚的に明らかに異なった場所に貯蔵した。アメリカカケスは、貯蔵後短時間で回収することができる条件において、好みの餌である新鮮なハチミツガの幼虫を好んで探した。しかしながら、長いインターバルの後ではその間に幼虫が腐食しており、彼らはすぐにそれらの幼虫を探さないことを学んだ。アメリカカケスの回収における選好は、いつ、どこに、特定の食物を貯蔵したかを記憶していることを示している。その結果、ヒト以外の動物において、エビソード記憶における行動的な基準を満たしていることが示された。
(黒島)