Visual search for global/local stimulus
features in humans and baboons.
(ヒトとヒヒにおける全体的/部分的な刺激特徴の視覚探索について)
Deruelle, C. & Fagot, J. (Center for Research in Cognitive Neuroscience)
Psychonomic Bulletin & Review, 1998, 5(3), 476-481.
FagotとDeruelle(1997)は、同一の視覚的な刺激を用いたテストにおいて、ヒヒは部分的な特徴を処理することに利点を表し、一方ヒトは最初にNavon(1977)によって報告された「全体的優先(global precedence)」効果を示したことを証明した。本実験において、我々はこの種差の原因を調査した。ヒトとヒヒは全体的、あるいは部分的なレベルにおいてターゲットが妨害刺激と異なる視覚探索課題を行った。ヒトは部分的なターゲットよりも速く全体的なターゲットに反応したが、一方ヒヒはその逆であった(実験1)。ヒトの反応時間(RTs)は、部分的、全体的な処理の両方において、刺激数と無関係であった。ヒヒの反応時間は刺激数に伴って線形に増加し、部分的な処理よりも全体的な処理の方がより速かった。ヒヒの探索勾配はターゲットが線で描かれると消えた(実験2)。その影響は刺激の輝度の変化にはよらない(実験3)。最後に刺激の密度の変化はヒヒの全体的な探索勾配に影響を与えたが、ヒトには影響を与えなかった(実験4)。全体的には、階層的な刺激を処理する間に必要となる知覚的なグループ化の作業は、ヒヒでは注意を必要とするが、ヒトでは必要としない。
(黒島)