No.75-1(1999/06/24)

Binocular vision in insects: How mantids solve the correspondence problem.
(昆虫における両眼視:如何にしてカマキリは対応問題をとくのか)

Rossel, S.
Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 1996, 93, 13229-13232.

カマキリは両眼視による手がかりを用いて、餌が射程距離内にあるかどうかを判断する。両眼視野内に複数の動くターゲットがある場合、カマキリは対応問題をとく必要がある。カマキリは、実際に存在する一つのターゲットを攻撃するために、両眼にある網膜像の可能な組み合わせの中から一つを選ばなければならない。この研究では、カマキリに様々な配置のターゲットを二つ提示して、攻撃前に起きる凝視の時のサッカードを解析した。サッカードの分布から、カマキリは複数の可能な組み合わせのうちの一つを一貫して好むことが明らかになった。選択は、それぞれの眼におけるターゲット像の位置や時空間的特徴によってある程度決定される。また、選択は両眼網膜像差にも依存することから、昆虫は局所的に両眼視の計算ができることが示唆される。組み合わせのルールは、カマキリが、間違った組み合わせから生じる幻のターゲットではなく、現実のターゲットに狙いを定めるのを確実にする。

(山脇)