No.76-1(1999/06/30)


Individual and developmental differences in disengagement of fixation in early infancy.
(発達初期の乳児における凝視の解放の個人差および発達差)

Frick, J. E.., Colombo, J., & Saxon, T., F.
Child Development, 1999, 70, 537-548.

今回の研究は、乳児における注視の持続の個人差および発達差と、視覚刺激への凝視からの解放の際の反応潜時との関係を調べたものである。94名(3ヶ月児52名、4ヶ月児42名)の乳児が、視野中央のターゲット刺激から周辺刺激への凝視の切り替えにおける反応時間を指標に、周辺刺激の呈示の際に中央のターゲット刺激がそのまま呈示され続ける条件(competition condition)と除かれる条件(noncompetition condition)においてテストされた。注視の持続は凝視の開放における反応潜時と相関関係にあった。(はじめに行った刺激への注視時間の持続を測る実験において)注視時間の長い乳児(longer-looking infants)は、注視時間の短い乳児(shorter looking infants)に比べ、中央の刺激が消えない条件において凝視の切り替えが遅かった、しかし、中央の刺激が除かれた条件ではこの差は見られなかった。実験の結果は、3ヶ月児と4ヶ月児で同様であったが、3ヶ月児はすべての条件において4ヶ月児よりも反応が遅かった。さらに、注視の長い乳児は一貫して反応が遅いわけではなく、凝視の開放が要求される条件においては、反応潜時に顕著な可変性が見られた。この結果は、注視の持続における発達差および個人差が、注意の解放や抑制、そして凝視の能力を統制する神経系の注意システムの発達にリンクするという見解を支持するものである。

(石川)