No.79-2(1999/07/22)


he use of path integration to guide route learning in ants.
(アリは道筋学習に経路統合を用いる)

Schatz, B., Chameron, S., Beugnon, G., & Collett, T. S.
Nature, 1999, 399, 769-772.

Cataglyphid antsは、巣と採餌場所を行き来するとき、なじみの道筋を通るが、その道先案内として周囲の景色を見ている。地面がむき出しで使える道筋がない場合でも、アリは経路統合という方法を使って進む。巣からの距離の総和と方向を常に確認し、この計算した「巣を示すベクトル」を使ってどんな地点からでも帰巣できる。そこで今回、経路統合が視覚的な目印の学習を強化する情報にもなっているかどうかを調べた。「巣を示すベクトル」の値が低下すれば、それは帰巣中のアリがほぼ正しい方向に進んでいることを示し、そこまでの景色の記憶はその後の帰巣に適切なものとなる。この仮説を検証するため、Cataglyphis cursorというアリに、採餌場所から巣に戻るさまざまな迷路を通り抜けるよう訓練した。アリが各迷路を能率よく通り抜けるには、図形のさまざまな組み合わせを識別しなければならない。そして、アリがある図形に近づいて通過するときに「巣を示すベクトル値」が下がる場合には、その図形の出現が学習されるが、もしこのベクトルが大きくなるか見つからない場合には、視覚学習が起こらないことがわかった。経路統合はアリが見慣れない風景の中を進むのを助け、かつその風景に慣れるのを助けているのかもしれない。

(眞竹)