No.84-1(1999/09/03)

Development of illusory-contour perception in infants.
(幼児における主観的輪郭知覚の発達)

Curan, W., Braddick, O.J.,Atkinson, J., Wattam-Bell, J, & Andrew R.
Perception , 1999, 28, 527-538.

8から22週齢の幼児が,規則正しく並んだ線端からできる主観的輪郭に対する感受性を持つかどうかを検討した.主観的輪郭知覚に関する従来の研究では,4ヶ月以下の幼児が偏好を示すのは,刺激の配置ではなく線端の存在そのもであろうとされている.小刻みに動く複数の正弦波からなり,その末端の並びが,大人では強い主観的輪郭の知覚を生じる刺激を生成した.われわれの実験では8週以上の幼児が動く主観的輪郭に対して,同数の線端を含み同じ動きをする刺激よりも強い偏好を示した.線の密度や規則正しく並んだ刺激一般への注意などはこの結果を生む要因ではないことを統制実験によって示した.最も若年のグループ(8-10週齢)では,刺激の速度が主観的要因の見えを決める重要な要因となっているようである.このことはこの時期における運動の処理に関するデータと一致する.われわれは,2ヶ月齢までに,幼児の視覚システムは規則正しく並んだ線端から主観的輪郭を抽出するのに必要な非線型なメカニズムをもつものと結論する。

(山下)