Innate versus learned recognition of conspecifics in great spotted cuckoos(Clamator glandarius).
(Great spotted cuckoos (Clamator
glandarius)における生得的な、あるいは学習による自種認識)
Soler,M., and Soler,J.J.
Animal Cognition, 1999, 2, 97-102.
他種に育てられたトリがオトナになったとき、彼ら(もし托卵する種でなければ)は、ふつう、自分自身の種よりも、育て親の種のトリとつがいになろうとする。この現象は性的刷り込みと呼ばれる。託卵種のトリは自分達のたまごを、コドモを育てる他種のトリ(ホスト)の巣に産む。しかし託卵種では性的刷り込みの問題は一般的に無視され、託卵種はトリの中では例外であると考えられてきた。今回、我々はまず最初に、野外での観察のデータと野外での実験から、great spotted cuckooのオトナは、時々、年長のヒナと巣立ったばかりのヒナと接触しつづけようとすることを示した。オトナのカッコウはヒナが巣にいる期間の最後頃に託卵している巣を訪れた(5回の観察)。そして、寄生していたヒナが巣を離れるときに、オトナのカッコウはヒナと接触をとりつづけた(14回の観察)。オトナと巣立ったばかりのカッコウは声でコミュニケーションをとった(5回の観察)、また、1羽のオトナは巣立ったばかりのヒナに餌を与えることさえ、2度あった。次に、実験的に託卵の範囲外に巣がある(つまり、視覚的聴覚的にオトナのカッコウと接触することができない)カササギ(Picapica)に育てさせたところ、育ったカッコウは巣に他のカッコウのヒナがいないときには、自種を認識できるようにはならなかった。しかし、同じ巣で2羽のカッコウが一緒に育てられたときには、自種認識できるようになった。このことはgreat spotted cuckoosの若齢個体は、学習によって自種を認識できるようになること、すなわち、自種認識は生得的なものではないことを意味している。託卵種のオトナとコドモとの社会的交渉は、他の託卵種においても報告されている。かくして、より多くの託卵種での研究がなされない限り、明言できないが、おそらく託卵種は刷り込みの一般的な現象の例外なのではなく、また、託卵種の若い個体は自種に関する刷り込みを必要とするのであろう。
(桑畑)